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文献詳細

雑誌文献

臨床外科69巻8号

2014年08月発行

臨床報告

術後5年3か月に孤立性腹膜再発をきたした大腸癌の1例

著者: 高原善博1 林永規1 岡本佳昭1 小西孝宜1

所属機関: 1千葉県循環器病センター外科

ページ範囲:P.1008 - P.1013

文献概要

要旨

症例は71歳の男性で,当院にて下行結腸癌(中分化型腺癌,pSE,ly2,v2,pN2(4/10),H0,P0,M0,Stage Ⅲb)および直腸癌(高分化型腺癌,pSM,ly1,v0)に対し左側結腸切除および直腸低位前方切除を同時施行した.術後補助化学療法を1年間施行後,外来にて経過観察となっていたが,術後5年3か月に黒色便を主訴に外来受診した.上下部内視鏡にて出血性病変を認めず,小腸カプセル内視鏡にて小腸腫瘍を認めたため診断および加療目的に小腸部分切除術を施行した.病理診断は腸間膜由来の中分化型腺癌であり,前回手術の下行結腸癌の組織型と酷似を認めたため腹膜再発の診断となった.大腸癌孤立性腹膜再発は稀であり,文献的考察を加えて報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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