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臨床報告
左側にS状結腸が嵌頓した両側Spigelヘルニアの1例
著者: 杉田静紀1 平松聖史1 佐伯悟三1 雨宮剛1 後藤秀成1 新井利幸1
所属機関: 1安城更生病院外科
ページ範囲:P.1145 - P.1147
文献購入ページに移動症例は74歳,女性.2日前から排便時の左下腹部膨隆,疼痛を自覚した.改善しないため当院を受診した.左鼠径部,外鼠径輪よりやや頭側に圧痛を伴うピンポン球大腫瘤様の膨隆を認め,腹部CT検査では左腹直筋外縁にヘルニア門を形成し,S状結腸が脱出していた.右側にもヘルニアの形成と脂肪織の脱出を認めた.両側Spigelヘルニアと診断した.左側は結腸が嵌頓していたため,緊急手術を行い,メッシュプラグ法にて左側の修復を行った.術後経過は良好である.右側は脂肪織の脱出のみで無症状であるので,経過観察としている.Spigelヘルニアは腹壁ヘルニアの0.1~2%と稀な疾患であり,特に両側かつS状結腸嵌頓症例は稀ではあるが,下腹部痛,腹部の腫瘤様の膨隆を主訴とする疾患の鑑別では念頭に置くべき疾患である.
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