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胃全摘と糖代謝
著者: 友田正信1
所属機関: 1九州大學醫學部第二外科教室
ページ範囲:P.6 - P.8
文献購入ページに移動1.緒言
胃手術後物質代謝に関する研究の歴史は非常に古く,多数諸家の業蹟が残されているのであるが,胃手術後胃機能の脱落があつても,腸管に於てその機能は代償されるもので,術後代謝は略々異常がないという様な考えを経驗的に抱いているものが多く,胃機能は一見著しく軽視された憾がある.
吾々は,胃が單に消化のみならず,生体の諸代謝生理上重要な役割を有するものである事を,胃全摘後例に就ての観察に依つて立証し,胃全摘の研究が,必らず術後代謝の面から出発されなければならない事を力説して来た処であるが,他方,胃癌が,從来よりも更に積極的な意味即所謂胃切断術なる概念の下に手術されなければ,到底その遠隔成績が向上しない事は胃全摘又切除標本での病理組織学的研究によつて吾々が之を証明した処で,将来胃全摘術の施行頻度が益々増加せんとする今日では,更に一層胃全摘後の物質代謝の問題解決が緊急を要す事となつて来たわけである.
胃手術後物質代謝に関する研究の歴史は非常に古く,多数諸家の業蹟が残されているのであるが,胃手術後胃機能の脱落があつても,腸管に於てその機能は代償されるもので,術後代謝は略々異常がないという様な考えを経驗的に抱いているものが多く,胃機能は一見著しく軽視された憾がある.
吾々は,胃が單に消化のみならず,生体の諸代謝生理上重要な役割を有するものである事を,胃全摘後例に就ての観察に依つて立証し,胃全摘の研究が,必らず術後代謝の面から出発されなければならない事を力説して来た処であるが,他方,胃癌が,從来よりも更に積極的な意味即所謂胃切断術なる概念の下に手術されなければ,到底その遠隔成績が向上しない事は胃全摘又切除標本での病理組織学的研究によつて吾々が之を証明した処で,将来胃全摘術の施行頻度が益々増加せんとする今日では,更に一層胃全摘後の物質代謝の問題解決が緊急を要す事となつて来たわけである.
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