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文献詳細

雑誌文献

臨床外科7巻1号

1952年01月発行

文献概要

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簡單なるエーテル酸素—同時吸入麻醉法に就て

著者: 橋本義雄1 神谷喜作1

所属機関: 1徳島大學醫學部外科學教室

ページ範囲:P.14 - P.17

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 我々は從来,あまりにもガス吸入による全身麻醉を怖れすぎていた.そして又全身麻醉は何か大げさなものとして敬遠していた.その爲に脊髄麻痺法と局所麻痺法に專ら頼つていた感がある.ところが局所麻痺法では,完全な疼痛の消失を望めない場合が少くない.多少なりとも疼痛の伴うのを,患者は我慢しているのである.我々外科医は,今迄余りにも患者に我慢を強いて来たのではなかろうか.脊髄麻痺法では胸部,上肢等の手術は不可能であるし,患者の状態によつては,恐るべき血圧降下を伴う場合が可成りある腹膜炎,イレウス等の手術には脊髄麻痺法は多大の危險を伴うものである.こうした場合に,安全な全身麻醉法が望ましい.全身麻醉法と云えば,すぐクロヽホルム・エーテルを考えるが,このうちクロヽホルムはエーテルに比し危險性が強い,殊に心臓に対する障害が強いので余り使用されない.その点エーテルは非常に安全であつて,色々新しい麻醉用ガスが発見された今日でもやはり麻醉用ガスとしての重要なる地位を失わない.アメリカではエーテルの外一酸化窒素,サイクロプロペイン等を使用してエーテルの欠点を補つているが,我々には入手困難である.又一般にガス吸入麻醉法といえば,器具が大仕掛であると考えられているが,成程成書にも説明している如き,高價器具により,各種ガス,酸素,炭酸ガスの適当な分量を組合わせて吸入させる事は,まことに結構な方法であるが,如何せん高價で誰でも直に使用出来ると謂うわけにはいかない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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