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文献詳細

雑誌文献

臨床外科7巻10号

1952年10月発行

文献概要

綜説

骨折治療上Cystine供給の意義

著者: 富井眞英1 根本浩介1

所属機関: 1京都府立醫科大學第二外科教室

ページ範囲:P.482 - P.483

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 私等が日常遭遇する外傷の内で骨折は案外多い症例であり且治癒迄に長期間を要するものである.之に対し観血的又は非観血的に治療が試みられ,観血的手段としては現在可なり進歩の跡を見るのであるが之も骨折部位により限定せられ又観血的に処置する事に依り多くの後遺障碍を残す場合がある.然し京都府大河村助教授により提唱せられた保存骨移植(1943)に於ては優れた成績を示している.ひるがえつて非観血的療法を檢討するに整復及び固定(副子・ギプス・牽引を含む)以外に何等の進歩発展を見ないでたゞ其の治療は各個体の生命現象の強弱に待つのみで甚だ消極的であると共に原始的なりとも云い得るのである.治療の根源とも云うべき障碍除去及び治癒促進より換言すれば前者のみに限られ後者に就ては現在骨折時の血腫に立脚し各方面より研究せられているに過ぎないのである.私等の臨床例より考うるに正規の非観血的治療法を試みるにも関らず約2%の仮関節症を続発し又仮骨化生の甚だ遅延するもの多きを経驗する.
 抑々骨折治癒機轉には骨膜性仮骨及び纖維素性仮骨造成も重要な課題ではあるが,又骨樣組織の梁となる骨髄性仮骨の存在も忘れてはならない事項である.骨治癒にCa代謝の相関するは常識とするもLexerの述ぶる如く骨折充血が骨折治癒に欠く可からざる現象なりと考うる時,骨髄の進展現象と骨折の治癒過程の相互関係を観察するのも又意義大なりと考える.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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