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症例
重症熱傷治驗例
著者: 佐藤淸助1
所属機関: 1日立製作所日立病院水戸分院外科
ページ範囲:P.513 - P.514
文献購入ページに移動 産業災害中熱傷はその頻度に於て相当数を占め,作業の種類,特に鑄物,熔解,製鉄工場に於ては極めて多発する災害で且つ又重症熱傷を発生する事も少くない.我々の工場に於てもその作業内容が高熱処理を要する原料部関係に於ては同樣の傾向が顯著に見られ終戰後昭和20年末迄に全公傷数の約15%に当る200名余の熱傷発生を見,此中144名(72%)は此部門に於ける熱傷患者と云う状況である.從て我々はその局所並に全身症状の軽重種々なるものに常時遭遇し,それ等の治療成績の向上に苦心して居る次第である.第二次世界大戰を契機としてその前と後には重症熱傷療法,特に全身療法に於て長足の進歩を示し治癒率が非常に高揚された.即ち熱傷ショックの本態が明かにされ血漿総蛋白量の変化が熱傷の全身症状及びその予後に重大なる関係ある事を知り此を測定する事に依り輸血輸血漿量を決定し充分にして且つ必要なる此等の量は他の進歩せる一般全身療法と相まつて第一次熱傷ショックを防止し更に高蛋白食餌攝取量算定の基準を知り得,加うるに抗生物質の発達は創面化膿を防止し肉芽発生を良好とし植皮の早期実施を可能とする事等これ等諸條件が熱傷の経過を良好且短縮出来る樣になつた事は諸賢の既に御承知の通りである.最近迄に我々も局所的にも全身的にも重症と思われる熱傷数例に遭遇し幸にも治癒せしめ得たのでこれ等を報告し諸賢の御批判と御助言を得たいと思う次第である.
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