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特集 上腹部外科臨床の進歩
膵臓嚢腫—本邦の統計的観察
著者: 河合直次1 小林愿之1 早田正敏1
所属機関: 1千葉大學醫學部第一外科
ページ範囲:P.593 - P.605
文献購入ページに移動膵臓嚢腫に関しては1878年Friedrichが初めて診断が甚だ困難なことを指摘し,その治療法としては対症乃至食餌療法によらなければならないと述べた,その後Kulenkampf(1882)は手術によつて本疾患を確認した1例を報告している.膵臓嚢腫の診断のもとに之を手術的に成功したのはGussenbauer(1882)である.Körte(1898)が文献により121例の本疾患手術例の統計的観察を発表して以来諸家の多数の業蹟,臨床例の報告をみるに至つた.本邦では緒方(明治30年)の第1例報告以来,私の前回発表迄(昭和17年6月)177例を数えたが,その後昭和27年3月迄の10年間に44例を文献的に調査した.私はこゝに本邦膵臓嚢腫221例の統計的観察を特にその治療法の変遷を中心に行つた.「膵臓外科」が本邦に於ても又米國に於ても自覚ましい進歩をとげつゝある現在,この小報告が多少でも貢献するところがあれば幸甚である.
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