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文献詳細

雑誌文献

臨床外科7巻11号

1952年11月発行

文献概要

特集 上腹部外科臨床の進歩

肝臟膿瘍に就て

著者: 代田明郞1

所属機関: 1日本醫科大學松倉外科教室

ページ範囲:P.621 - P.628

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緒言
 肝臓膿瘍は種々なる原因的疾患に因つて起るものであるが,地方的に幾分特異性を有し熱帶,亞熱帶に発生する肝臓膿瘍は主としてアメーバ赤痢に由来するもので,戰前我國に於ては台湾,朝鮮地方に多く,アメーバ赤痢の流行せざる内地に於ては比較的稀であつて,これに関する報告は僅に10数例に過ぎなかつた.しかるに終戰以後これに関する報告も急激に増加したとはいえ,温帶地方に発生する肝臓膿瘍は殆ど細菌によるもので,虫垂炎,胆道疾患,胃十二指腸潰瘍,其の他腸管潰瘍,腹膜炎等種々の腹部疾患に起因して起ることが最も多く其の他肛門周囲の化膿性疾患,敗血症の経過中に起ることもある.而してアメーバ赤痢に因る肝臓膿瘍は主として單発性であるに対しこれ等細菌性の肝臓膿瘍特に虫垂炎に因る肝臓膿瘍は多発性であつて,内臓外科及び化学療法の著しく進歩した今日尚お予後最も不良なる外科的疾患の一つとして数えられている.
 筆者は松倉外科教室に於て15例の肝臓膿瘍を経驗したので此れを経とし文献を緯として本症に就て聊か述べて見たいと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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