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文献詳細

雑誌文献

臨床外科7巻2号

1952年02月発行

文献概要

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原発性気管癌の1例

著者: 矢端信一郞1

所属機関: 1名古屋大學醫學部桐原外科教室

ページ範囲:P.92 - P.94

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I 緒論
 一般に気管に癌腫の原発することは甚だ稀なことされている.その原因として気管の形状が簡單で内腔が極めて單緒なる硬い管であり,諸種の刺戟をうけることが少い結果であろうとも説明されている.多く見られる気管の癌は原発性でなくて,附近の臟器組織例えば甲状腺或いは食道の癌から二次的に増殖したものであつて,原発性に気管に癌の発生をみるのは極めて稀である.
 文献に徴するも其の経驗例は少なく,1827年に始めてLanghansがその1例を報告して以来,1893年にReihe,1895年にOestreichが各1例を報告し,漸次其の症例の追加を見るに至つている.1914年にP.Heymannは原発性気管癌につき24例を総計して報告しており,そにOppikofer u.Minnigerodeが3例を追加している。
 我國に於ては1908年(明治44年)に九大の久保猪之吉博士が気管癌につき記載をなし,以後1920年(大正9年)に岡山医大の吉田博士が1例,1935年(昭和10年)に九大の大野博士が1剖檢例を報告している.昭和9年に於ける長與博士の日本に於ける癌の統計報告によると.総数20451例中,気管は僅か1例となつている.余は声帶と気管分岐部の中間の気管部に原発せるAdeno—kankroidと認められる珍しき1例に遭遇せるを以つてこゝに報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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