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文献詳細

雑誌文献

臨床外科7巻3号

1952年03月発行

文献概要

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外科臨床に應用さるべき副腎皮質機能検査法について

著者: 澁澤喜守雄1

所属機関: 1東京大學福田外科教室

ページ範囲:P.118 - P.126

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まえがき
 現在,われわれは副腎皮質の機能をたしかめないで大きい手術を企てることがもはや出来なくなつてしまつた.手術室において,あるいは術後短時間の経過において不幸の轉皈を辿る症例の多数に多少とも急性の副腎皮質不全が見出され,またその術前には副腎不全の慢性型が見出されるからである.副腎皮質不全の典型はAddi—son病であろうが,Addison病が副腎結核によることはむしろ少いことが明かにされ1),また副腎皮質製剤が有効に使用しうるにいたつたこんにち,外科臨床でAddison病を取扱う機会はむしろかなり稀であるといわなければならない.このようにして,われわれ若輩は副腎不全をほとんど知らなくなつたのである.Addison病あるいは慢性副腎皮質不全の主なる症状はつぎのように要約されるであろう1)
 1.ひよわで疲れやすい
 2.皮膚粘膜の異常の色素沈著.
 3.体重の減少と脱水.
 4.低血圧と小心臓.
 5.食慾がない.惡心・嘔吐・下痢などがある.
 6.めまい,失神などの発作.
 7.低血糖と低血糖症状.
 8.精神神経症状.
 9.性機能と二次性徴の衰退.
 10.その他.
 日頃,大きな手術が計画される患者に,このような症状すべて,あるいはいくつかを見出すことは,しかし甚だ多いといわなければならないであろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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