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文献詳細

雑誌文献

臨床外科7巻5号

1952年05月発行

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膵頭十二指腸切除の経驗

著者: 梶谷鐶1 星野智雄1

所属機関: 1癌研究會附属病院外科

ページ範囲:P.231 - P.235

文献概要

緒言
 小範囲の膵頭十二指腸切除による十二指腸乳頭部癌治驗例は1909年既にKausch1)により報告されているが,当時の医学を以てしては本格的な膵頭十二指腸切除は侵襲が過大で,又胆道或は膵と腸管の蓮絡部に縫合不全が起り易く,甚だ困難な手術であり,且つ膵、十二指腸の機能に関する認識も不充分であつたから,暫く一般から敬遠されていた.本手術が膵頭十二指腸部の癌に対し本格的な根治術式として採用され得るに至つたのはWhi—pple等(1935)2)の功績である.Brunschwig3)は1937年既に膵頭と共に十二指腸を全別出する徹底的術式に到達している.当時の手術成功の鍵は斯る大侵襲を二時的に行うこと,膵の外分泌を遮断するも生命の保持は可能であると云う事実に基いて,遺残膵を腸管に連絡しないで断端を閉鎖したまゝ放置することにあつたと報じられている.又膵や十二指腸の欠如も人体に著明なる障碍を起さず,或は起しても障碍は比較的容易に克服されることが認織され,本術式は漸く一般化し,Bartlett4).Whi—pple5),Waugh6),Cattell7)8),等により多数本手術の経驗が報告されるに至つた.現在では黄疸に対する対策,抗生物質の使用,ショックの予防等により本手術の直接死亡率は著しく低下し,從つて手術方法にも亦可成り変革が齎された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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