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綜説
脊髄性小兒マヒの早期発見と治療
著者: 羽根田貞郞1
所属機関: 1順天堂醫科大學
ページ範囲:P.376 - P.378
文献購入ページに移動 ハイネメヂン氏病,脊髄前角炎,脊髄性小兒麻痺,弛緩性小兒麻痺などと色々な名称で呼ばれてきたこの疾患も厚生省から「急性灰白髄炎及びその後遺症」と云う名が與えられて一應落付いたわけであるが,吾々の方面の仕事にたづさわる人間にとつてはこの名称は結構ではあるが,一々この通り呼んだり書いたりすることは大変なことで誠に非能率的なことである.アメリカでは簡單に『Polio」と呼んでいるが之に匹適するような日本語の名前はないものかと色々と考えて見たが中々名案が出てこない.「急性灰白髄炎』の間は先づ小兒科の領域であろうし「その後遺症』となると整形外科の領域になる.つまりこの二つを引つくるめたものがこの疾患であるわけでどうも一方だけでは充分とは申されない.冒頭に掲げた名前もその意味ではいづれも完全とは申されないような気がする.そこで取り敢えずこの長つたらしい名前の代りにアメリカ式名称をそのまゝ借用して「ポリオ」と呼ぶことにして疫学,細菌学,小兒科学,整形外科学等の各分野からそれぞれこの疾患を研究して居る人達が集つて出来上つたのが「ポリオ研究班」である.班員は東大名誉教授の栗山先生に引き受けて頂いて発足したのが昨年の7月先づ第1年は基礎的研究をと云うことで費用の大半は台湾猿を購入することに充てられた.ところが敗戰國の悲しさ,肝心の猿の到着したのが今年の正月である.
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