icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科7巻8号

1952年08月発行

綜説

胃潰瘍癌の1特異レ線粘膜皺襞像(笹の葉状粘膜皺襞像)に就て

著者: 久野敬二郞1

所属機関: 1癌研究會附屬病院外科

ページ範囲:P.388 - P.391

文献概要

 胃潰瘍が癌変性をなす頻度は諸家の統計に相当の差を示しているが,少くとも5%以上あるものと思われる.癌変性を示す症状としては疼痛の食事攝取との時間的関係が不明瞭になつたり,食欲が減退したり,胃液酸度が低下したり,糞便の潜血反應が持続的に陽性に出たりする事であるが,かゝる症状により早期の潰瘍癌を発見する事は極めて稀である.この点に於てはレ線検査はやゝ信頼をおき得るものとされているが,それでもこれによつて癌変性を鑑別する事は困難な場合が多い.
 胃潰瘍と胃癌のレ線粘膜皺襞像に就て見るに,胃潰瘍に於ては潰瘍の側面創ではその部に向つて粘膜皺襞が天下幕状に集合した点状の陰影突出を認める粘膜集中像や,正面像では潰瘍を中心として皺襞が放射状乃至星芒状に排列し中央に陰影斑の現われる粘膜星芒状を示す.胃癌に於ては腫脹の発育と共に局所の粘膜が破壊される爲に起る正常粘膜皺襞像の突然中絶及び癌腫表面の凹凸不整による惡性皺襞像が現われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら