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文献詳細

雑誌文献

臨床外科7巻9号

1952年09月発行

綜説

吸入麻醉殊に気管内麻醉を中心としての実驗的並に臨床的研究

著者: 坂野登1 斯內政明1 安藤次雄1 小川澄夫1 成田一成1 石井武夫1 北川昭二1

所属機関: 1名古屋大學醫學部戸田外科教室

ページ範囲:P.431 - P.436

文献概要

1.緒言
 1542年Vasalius氏は動物実驗に於て開胸すると肺が萎縮して心臓が振顫を来して止り,これに気管内挿入管を入れて空気を送ると肺は再び膨張して心臓も再び動く事を知つた.そして心臓が再び動くのは肺の運動に関係のある事を知つた.これが気管内挿入管の使われた初めである.1667年Rovert,Hooke氏も同様の実驗を行つた.沢山の孔をあけ手押ポンプで肺に室気を送りそれを膨ませて置くことに成功し生存を続けさせる事を実驗した.これにより何物かゞ肺を通過することが何かの機轉となり心臓が動くので肺の運動そのものによるのでない事を知つた.1858年Snow氏は動物に於て気管内挿入管を通じクロロホルム瓦斯を與え麻醉を行つた.彼はCO2を吸收する爲にKOHを使用し閃鎖循環式を使用した事は興味ある事である.1871年Trendelenburg氏はこのSnow氏の方法を始めて人間に應用した.彼は気管内挿入管で気管内の血液を吸引する事をやつて居る.1880年Mac.Ewen氏はスコットランドに於て経口的に金属気管チュブを入れてクロロホルムを吸入させた.1893年O.Owyer氏がヂフテリーの麻痺に気管内挿入管を用いてからこの方法は著しく発達した.
 1900年より1910年の間Kuhn.Elswerg両氏は種々の病例にこの麻醉法を行つた.1910年Dennis Jackson氏は動物に於て循環麻醉装置を始めて行つた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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