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症例
頑固なる神経痛に対するアルコール蜘蛛膜下注入療法
著者: 加藤貞三郞1
所属機関: 1濱松市遠州病院外科
ページ範囲:P.446 - P.448
文献購入ページに移動 神経痛として総括さるる痛みの原因が色々と檢討され特に根性神経痛等の研索も進歩して從来の所謂本態性神経痛と言わるべきものは減少しつゝある。併し尚痛みを起す器質的病変の明瞭でなく,然も長く頑固なる神経痛様疼痛や腰痛を訴える症例は相当に存在する,即ち神経系に於けるロイマチス性アレルギー性病変が原因たり得るし神経自身の栄養血管の循環障碍又は神経根部附近の血管,淋巴管循環不全も所謂神経痛の病因たり得る.私は末梢紳経—神経幹—椎間神経節—神経根の一連を神経痛様の疼痛も構成する一單位と考え,此の一連の何れの場所に病変が有つても同様な痛みの様相を現わすものと思考した.併して神経末梢部病変は当然椎間稗経節へ波及する事が考えられる,斯る椎間神経節,神経根部の病変が諸種藥物の皮下筋肉内又は血管内注射で如何程影響さるゝか頼りない感がある,其処で私は頑固なる神経痛で然も特別なる器質的変化を他の部に発見し得ず,椎間神経節,根部に前記の如き過敏性有る者に対しては直接脊椎管に藥物を注入して其の過敏部にのみ藥物を作用せしめる事が合理的であると思考す.
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