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文献詳細

雑誌文献

臨床外科7巻9号

1952年09月発行

症例

動脈栓塞症

著者: 甲賀熹六1 二宮和子1

所属機関: 1市立宇和島病院

ページ範囲:P.453 - P.455

文献概要

 抑々壊疽とは一定の組織が全個体の循環系統から遮断せられて死滅した状態を称し,これは壊死と同義語に使用する場合もあるが,嚴密に両者を区別する時は,壊疽の方は軟部のみか或は軟部と骨部全部の場合を称し壊死は骨の場合を称する.
 壊疽のエチオロギーとしては,(1)その部分の細胞が直接に死滅した場合,例えば強度の挫傷,火傷,炎症,中毒の結果としての局所細胞が直接に死滅するし,炎症や中毒の時には多くは細胞性に死滅するから,変性或は軟化の形で来る結果として化膿性融解を来す.(2)局所の循環障碍で,之は動脈血の環流が障碍せられて発生する場合が多いガス,静脈血流が障碍せられても起り得る.終末動脈により栄養を受けている臓器,例えば脳皮質の動脈に障碍があれば壊疽が生じ易く,脳溢血の後には往々起るし,胃粘膜は終末動脈に近似した血行で栄養を受けているから,胃粘膜に壊疽が潰瘍の形を以て起り易い.(3)同様のことが内部からの原因によつて動脈の内膜の炎症性膨隆によつても発生する.之を特発性脱疽を定義すると鳥潟教授は述べられた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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