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臨床報告
腹部鈍的外傷後遅発性大腸狭窄に対して腹腔鏡下大腸切除術を施行した1例
著者: 波多豪1 吉岡慎一1
所属機関: 1兵庫県立西宮病院外科
ページ範囲:P.113 - P.116
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症例は70歳,男性.交通外傷による小腸穿孔に対して小腸修復術,腹腔ドレナージ術が施行され,約10か月後に腸閉塞症状を呈するようになった.内視鏡検査で下行結腸に内腔の狭窄を認めたが,肉眼的,顕微鏡的ともに悪性所見はなく,経過観察の方針としていたが,狭窄が悪化するため,腹腔鏡補助下結腸部分切除術を行った.病理組織検査で腸管壁の高度の線維化を認めたが悪性所見はなく,臨床経過と合わせて腹部鈍的外傷後遅発性大腸狭窄と診断した.腹部鈍的外傷後には遅発性に腸管狭窄が生じることがあるが,大腸狭窄の頻度は少ない.今回,腹部鈍的外傷後遅発性大腸狭窄に対して腹腔鏡下手術を施行した1例を経験したので報告する.
症例は70歳,男性.交通外傷による小腸穿孔に対して小腸修復術,腹腔ドレナージ術が施行され,約10か月後に腸閉塞症状を呈するようになった.内視鏡検査で下行結腸に内腔の狭窄を認めたが,肉眼的,顕微鏡的ともに悪性所見はなく,経過観察の方針としていたが,狭窄が悪化するため,腹腔鏡補助下結腸部分切除術を行った.病理組織検査で腸管壁の高度の線維化を認めたが悪性所見はなく,臨床経過と合わせて腹部鈍的外傷後遅発性大腸狭窄と診断した.腹部鈍的外傷後には遅発性に腸管狭窄が生じることがあるが,大腸狭窄の頻度は少ない.今回,腹部鈍的外傷後遅発性大腸狭窄に対して腹腔鏡下手術を施行した1例を経験したので報告する.
参考文献
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