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文献詳細

雑誌文献

臨床外科70巻12号

2015年11月発行

文献概要

FOCUS

遺体による手術手技研修の現状

著者: 七戸俊明1 平野聡1

所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科消化器外科学分野Ⅱ

ページ範囲:P.1380 - P.1383

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はじめに
 医療技術は年々高度化し複雑になっている.高度な医療を安全に提供するには,十分な解剖学的知識と手術を確実に遂行しうる技術が必要であり,手術手技向上のトレーニングが欠かせない.トレーニング方法には従来からあるon the job training(OJT)やシミュレーション,動物を用いたトレーニングなどが挙げられるが,OJT以外は一般的ではなく,新規の術式の導入や高難易度手術の実施に際して,術前に手術手技のトレーニングや手術シミュレーションを実施するかどうかは,医師個人やそれぞれの施設の判断に任されているのが現状である.
 遺体(cadaver:カダバー)を用いた手術手技研修(cadaver training)は,実際の手術に則した手術手技の修練が可能であり,教育手法としての有用性が示されているが,わが国では2012(平成24)年に「臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン」(ガイドライン)1)が公表されるまでは実施基準がなかったために,現在まで広く普及するには至っていない.本稿では,このガイドラインを紹介し,遺体による手術手技研修の現状と今後の普及に向けた課題を提示する.

参考文献

1)日本外科学会・日本解剖学会:臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン.2012,日本外科学会ホームページ〔https://www.jssoc.or.jp/journal/guideline/info20120620.pdf〕,日本解剖学会ホームページ〔http://www.anatomy.or.jp/file/pdf/guideline/guideline_120823.pdf〕よりダウンロード可能
2)七戸俊明,近藤 哲,持田讓治,他:「外科系医療技術修練の在り方に関する研究」についての報告.日外会誌110:304-309,2009
3)七戸俊明,近藤 哲,河瀬 斌,他:「サージカルトレーニングのあり方に関する研究」についての報告.日外会誌112:55-60,2011
4)七戸俊明,近藤 哲,井出千束,他:「臨床医学の教育研究における死体解剖のガイドライン案」とその解説.日外会誌112:267-272,2011
5)岡田隆平,角田篤信,籾山直子,他:Thiel法による解剖体固定法とその有用性についての検討.日耳鼻会報115:791-794,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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