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文献詳細

雑誌文献

臨床外科70巻12号

2015年11月発行

文献概要

臨床報告

腹膜前脂肪層に広がった膵膿瘍の1例

著者: 河本慧1 門脇嘉彦1 横田祐貴1 田村竜二1 岡本貴大1 石堂展宏1

所属機関: 1神戸赤十字病院外科

ページ範囲:P.1397 - P.1401

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要旨
重症急性膵炎後に腹膜前脂肪層を占拠する巨大膵膿瘍を形成した症例を経験した.症例は75歳,女性.前日からの腹痛を主訴に当院へ紹介され,精査にて重症急性膵炎と診断した.保存的加療にて全身状態は改善したが,第39病日に行ったCTにて後腹膜腔から腹膜前脂肪層に続く液貯留を認めた.感染像を伴わなかったため経過観察としたが,第67病日に発熱および造影CTでの囊胞内ガス像を認めたため膵膿瘍と診断し,経皮的ドレーンを留置した.その後,膵膿瘍は縮小し第138病日にドレーンを抜去した.膵仮性囊胞や膵膿瘍が腹膜前脂肪層に及ぶことは稀であるが,この進展経路は後腹膜腔の解剖やinterfascial planesの概念を理解するうえで興味深いと考えられる.

参考文献

1)竹山宣典,木原康之,大槻 眞:急性膵炎診療のガイドラインにおける外科治療の問題点 特に膵膿瘍の診断と治療について.膵臓21:504-509,2006
2)急性膵炎診療ガイドライン2010改定出版委員会:急性膵炎診療ガイドライン2010,第3版.金原出版,2009
3)Baril NB, Ralls PW, Woren SM, et al:Does an Infected Peripancreatic Fluid Collection or Abscess Mandate Operation? Ann Surg 231:361-367, 2000
4)Yasuda T, Kamei K, Araki M, et al:Extraperitoneal Fluid Collection due to Chronic Pancreatitis. Case Rep Gastroenterol 7:322-326, 2013
5)Dodds WJ, Darweesh RM, Lawson TL, et al:The Retroperitoneal Spaces Revisited. Am J Roentgenol 147:1155-1161, 1986
6)Gore RM, Balfe DM, Aizenstein RI, et al:The great escape:interfascial decompression planes of the retroperitoneum. Am J Roentgenol 175:363-370, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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