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臨床報告
腹膜前脂肪層に広がった膵膿瘍の1例
著者: 河本慧1 門脇嘉彦1 横田祐貴1 田村竜二1 岡本貴大1 石堂展宏1
所属機関: 1神戸赤十字病院外科
ページ範囲:P.1397 - P.1401
文献購入ページに移動重症急性膵炎後に腹膜前脂肪層を占拠する巨大膵膿瘍を形成した症例を経験した.症例は75歳,女性.前日からの腹痛を主訴に当院へ紹介され,精査にて重症急性膵炎と診断した.保存的加療にて全身状態は改善したが,第39病日に行ったCTにて後腹膜腔から腹膜前脂肪層に続く液貯留を認めた.感染像を伴わなかったため経過観察としたが,第67病日に発熱および造影CTでの囊胞内ガス像を認めたため膵膿瘍と診断し,経皮的ドレーンを留置した.その後,膵膿瘍は縮小し第138病日にドレーンを抜去した.膵仮性囊胞や膵膿瘍が腹膜前脂肪層に及ぶことは稀であるが,この進展経路は後腹膜腔の解剖やinterfascial planesの概念を理解するうえで興味深いと考えられる.
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