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図解!成人ヘルニア手術・7 忘れてはならない腹壁解剖と手技のポイント
腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP法)
著者: 早川哲史1
所属機関: 1医療法人豊田会 刈谷豊田総合病院 腹腔鏡ヘルニアセンター
ページ範囲:P.1514 - P.1522
文献購入ページに移動■ 腹腔鏡下鼠径部ヘルニア修復術に対する重要な注意点
鼠径部ヘルニア治療の大原則は,再発がなく,術後疼痛がなく,そのほかの合併症もない術式を行うことである.腹腔鏡下鼠径部ヘルニア修復術は,手術後の疼痛が少なく,早期社会復帰が可能であるなどの利点が多数報告されている1〜3).しかしながら,日本内視鏡外科学会の2013年集計では腹腔鏡下手術の再発率は4〜5%と驚くべき数値が報告され4),再発させない確実な手術手技の習得が極めて必要と考える.特にTAPP法(transabdominal preperitoneal repair法)では,2Dの腹腔鏡画像の中で特殊な鼠径部立体構造を十分に把握し,TAPP法独特の鉗子操作の習熟が必要である.手術手技に未熟な術者における手術では,再発率や合併症率は必然的に上昇するものと思われる.本稿では,再発を起こさせない手術手技を求め,TAPP法における立体的空間認識の重要性を中心に述べる.
鼠径部ヘルニア治療の大原則は,再発がなく,術後疼痛がなく,そのほかの合併症もない術式を行うことである.腹腔鏡下鼠径部ヘルニア修復術は,手術後の疼痛が少なく,早期社会復帰が可能であるなどの利点が多数報告されている1〜3).しかしながら,日本内視鏡外科学会の2013年集計では腹腔鏡下手術の再発率は4〜5%と驚くべき数値が報告され4),再発させない確実な手術手技の習得が極めて必要と考える.特にTAPP法(transabdominal preperitoneal repair法)では,2Dの腹腔鏡画像の中で特殊な鼠径部立体構造を十分に把握し,TAPP法独特の鉗子操作の習熟が必要である.手術手技に未熟な術者における手術では,再発率や合併症率は必然的に上昇するものと思われる.本稿では,再発を起こさせない手術手技を求め,TAPP法における立体的空間認識の重要性を中心に述べる.
参考文献
1)Schmedt CG, Sauerland S, Bittner R:Comparison of endoscopic procedures vs Lichtenstein and other open mesh techniques for inguinal hernia repair:a meta-analysis of randomized trials. Surg Endosc 19:188-199, 2005
2)Kuhry E, van Veen RN, Langeveld HR, et al:Open or endoscopic total extraperitoneal inguinal hernia reair? A systematic review. Surg Endosc 21:161-166, 2007
3)Li J, Wang X, Feng X, et al:Comparison of ope and laparoscopic preperitneal repair of groin hernia. Surg Endsc 23:4702-4710, 2013
4)内視鏡外科手術に関するアンケート調査—第12回集計結果報告.日鏡外会誌19:520-524,2014
5)早川哲史:腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術—TAPP法の最新手術手技.手術69:1529-1537,2015
6)早川哲史:腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術—さまざまなTAPP(transabdominal preperitoneal repair)法.手術62:1681-1689,2008
7)早川哲史:標準的成人腹腔鏡下鼠径部ヘルニア手術.外科治療100:605-6013,2009
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