臨床外科70巻2号

2015年02月発行

特集 肛門良性疾患を極める—目で見る 多彩な病態へのアプローチ法

各論

直腸腟瘻の診断・治療の実際

著者： 仕垣幸太郎¹ 佐原力三郎¹

所属機関： ¹東京山手メディカルセンター大腸肛門病センター

ページ範囲：P.208 - P.214

文献概要

【ポイント】
◆直腸腟瘻は，腟からガスや便が不随意に漏れ出るため，不快感と精神的苦痛を伴う女性特有の疾患である．
◆原因として，分娩外傷，感染，炎症性腸疾患，手術合併症などがある．
◆治療方法は，advancement flap, seton法，瘻管開放術，瘻管くり抜き術，人工肛門造設術などが行われる．これらは原因疾患，瘻孔の状態を考慮して選択するのが望ましい．

参考文献

1）井上靖浩，大井正貴，竹内謙二，他：薄筋弁を用いた放射線直腸腟瘻修復術の1例．日本大腸肛門病会誌52：601-604, 1999

2）柴田裕達，毛利麻里，小金井一隆，他：炎症性腸疾患に合併した肛門腟瘻-知っておくべき各種肛門疾患．手術65：809-813, 2003

3）Nakagoe T, Sawai T, Tuji T, et al：Successful transvaginal repair of a rectovaginal fistula developing after double-stapled anastomosis in low anterior resection：report of four case. Surg Today 29：443-445, 1999

4）水谷雅臣，布施明，牧野孝俊，他：直腸癌術後の難治性直腸腟瘻に対し薄筋筋皮弁の充塡により治癒し得た1例．日消外会誌38：112-116, 2005

5）須浪毅，田内潤，坂下克也，他：エストリオール錠が有効であった直腸癌術後直腸腟瘻の1例．日本大腸肛門病会誌74：3416-3419, 2013

6）古川聡美，佐原力三郎：瘻孔手術直腸腟瘻．OGS NOW 7子宮奇形・腟欠損・外陰異常・性別適合の手術．メジカルビュー，2011，pp 142-147