icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科70巻3号

2015年03月発行

文献概要

臨床報告

術後初回再発形式として骨単独転移を呈し集学的治療が奏効した盲腸癌の1例

著者: 川守田啓介1 児玉乾1 寺田修三2 城野晃一1 神谷紀之1 佐藤芳樹1

所属機関: 1伊東市民病院外科 2下田メディカルセンター内科

ページ範囲:P.344 - P.348

文献購入ページに移動
要旨
症例は54歳,男性.イレウスを契機に盲腸癌と診断され,回盲部切除術(D3郭清)を施行した.術後補助化学療法としてmFOLFOX6を12コース施行した.術後1年9か月で左坐骨・右上腕骨への転移を認めたが,この2か所以外に転移を疑う所見は認めなかった.全身療法としてmFOLFOX6+ベバシズマブを開始し,ゾレドロン酸も併用した.化学療法が著効し,7コース施行後には腫瘍マーカーが正常範囲内まで低下した.この時点で左坐骨・右上腕骨へ放射線照射を行った.骨転移と診断し化学療法開始から1年7か月(術後3年4か月)現在,無再発生存中であり,転移巣への局所治療の追加は有用な可能性があると考えられた.

参考文献

1)Kanthan R, Loewy J, Kanthan SC, et al:Skeletal metastases in colorectal carcinomas:a Saskatchewan profile. Dis Colon Rectum 42:1592-1597, 1999
2)Santini D, Tampellini M, Vincenzil B, et al:Natural history of bone metastasis in colorectal cancer:final results of a large Italian bone metastases study. Ann Oncol 23:2072-2077, 2012
3)馬場裕信,石川敏昭,岩田乃理子,他:多発骨転移を伴う肛門管内分泌細胞癌—集学的治療が奏効した1例—.癌と化療40:2017-2019, 2013
4)上藤和彦,松本佑介,牟田 直:播種性血管内凝固症候群を伴った骨髄癌症に対してmFOLFOX-6療法が奏効した4型大腸癌の1例.日消外会誌44:318-324, 2011
5)山内理海,岡本與平,土井美帆子,他:骨髄癌腫症を併発した肛門管癌に対してmFOLFOX6療法が奏効した1例.癌と化療37:2209-2211, 2010
6)小泉雅彦:転移性骨腫瘍に対する放射線療法.臨整外48:675-682, 2013
7)飯野 弥,森 義之,三井文彦,他:外科的切除により長期生存となった坐骨転移を伴う直腸癌の1例.日本大腸肛門病会誌63:173-178, 2010
8)土井勝之,浅野貴徳,木下 崇:下顎骨転移7症例の臨床検討.頭頸部外科19:161-165, 2009
9)片桐浩久,高橋 満,高木辰哉,他:転移性骨腫瘍に対する治療体系—原発巣検索手順と予後予測に対する戦略—.関節外科22:46-54, 2008
10)Benoist S, Brouquet A, Penna C, et al:Complete response of colorectal liver metastases after chemotherapy:Does it mean cure? J Clin Oncol 24:3939-3945, 2006
11)高橋健夫:骨転移の放射線治療.大腸癌Frontier 6:32-36, 2013
12)増田大機,石川敏昭,岩田乃理子,他:直腸癌骨転移に対し化学放射線療法が著効した1例.癌と化療40:1999-2001, 2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?