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臨床報告
多房性巨大脾囊胞を合併した膵尾部癌の1例
著者: 酒井拓1 奥村憲二2 原一生1 池添清彦2 中村弘毅3 入江康司4
所属機関: 1社会医療法人天神会 古賀病院21消化器内科 2社会医療法人天神会 古賀病院21消化器外科 3新古賀病院消化器内科 4新古賀病院病理診断科
ページ範囲:P.349 - P.354
文献購入ページに移動症例は63歳,男性.突然の左側腹部痛に対して当院を受診した.腹部CTにて,内部が多房性囊胞性腫瘤により置換され腫大した脾臓を認め,脾門部と膵尾部との境界が不明瞭であった.腹部MRIでは,脾門部へ浸潤し,脾内に囊胞成分や充実成分の混在した不整形の腫瘤の形成を認めた.PET/CTでは,膵尾部から脾門部にかけて高集積を認め,CA19-9などの血液腫瘍マーカーが高値であったことから,膵尾部癌もしくは脾臓の悪性腫瘍を疑ったが,確定診断には至らず,脾臓再破裂の危険性もあり審査腹腔鏡を施行後,膵体尾部,脾臓合併切除を施行した.病理診断結果はpapillary adenocarcinoma of pancreas infiltrating typeであった.脾臓の囊胞性病変の鑑別の一つとして,膵尾部癌の浸潤が原因であることも考える必要があると思われた.
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