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文献詳細

雑誌文献

臨床外科70巻4号

2015年04月発行

文献概要

必見! 完全体腔内再建の極意・25

—噴門側胃切除術後再建—観音開き法

著者: 布部創也1 本多通孝1 熊谷厚志1 比企直樹1 大橋学1 佐野武1 山口俊晴1

所属機関: 1がん研有明病院消化器センター外科

ページ範囲:P.470 - P.474

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■■はじめに
 噴門側胃切除術(PG)は,主に上部早期胃癌に対する機能温存手術として位置づけられている術式である.術後生存期間やQOLの維持に関するエビデンスは乏しいので,胃全摘術との比較においては適応についての議論の余地は残されているものの,2008年改訂の保険点数にも収載されるようになり,広く普及した術式の1つと考えるべきである.また,腹腔鏡下噴門側胃切除(LAPG)も2014年の改訂において保険収載されるようになっている.
 当科においては,残胃が3分の2以上残存する上部早期胃癌を腹腔鏡による本術式の適応としている.そのためUM領域の広い0-Ⅱc病変などは適応から外れることとなる.
 LAPG後の再建法の選択にはいまのところ標準的なものはないと考えるが,当院の基本方針は腹部食道が残存する症例には観音開き法再建を,食道をある程度切除する症例には空腸間置再建を行っている.LAPGでは簡便性も含め食道-残胃吻合はサーキュラー・ステイプラーを使用することが多いと思われる.ただし,器械吻合のみで終わらせると逆流性食道炎が必発であり,噴門形成術などの付加が必要である.当院で採用している観音開き法は,上川ら1)により報告された形態的,機能的再建方法であり,強力に逆流を防止する(図1).
 本法は食道切離断端の約5 cm口側での固定が必要となるため,食道浸潤がなく,腹部食道で食道を切離しても十分に口側マージンを確保できる症例を適応としている.現在では食道浸潤1〜2 cmほどの症例は,腹腔内から十分に口側食道を剝離して(左開胸となることが多い)本法を行う症例もある.また,さらに食道切除が必要な症例は開胸操作で胃管により本法を用いた再建を行う症例もある.
 手縫いで行うことで吻合部の柔軟性を保つため,腹腔鏡下での吻合においては縫合テクニックがある程度必要である.腹腔鏡下では小開腹からの視野に比べ,良好な視野で吻合ができる利点がある.本稿ではLAPG後の観音開き法再建の手技について詳述したいと思う.

参考文献

1)上川康明,小林達則,上山 聡,他:噴門側胃切除後の逆流防止を目指した新しい食道胃吻合法.消外24:1053-1060, 2001
2)日本胃癌学会(編):胃癌治療ガイドライン(医師用2014年5月改訂),第4版.金原出版,2014
3)大山繁和,加藤浩樹,太田恵一朗,他:横隔食道膜と胃癌機能温存手術.外科62:383-390,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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