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必見! 完全体腔内再建の極意・26【最終回】
—噴門側胃切除術後再建—長い細径胃管を用いた腹腔鏡下再建法
著者: 上田貴威1 圓福真一朗2 猪股雅史2 白石憲男1
所属機関: 1大分大学医学部地域医療学センター外科分野 2大分大学医学部消化器・小児外科
ページ範囲:P.614 - P.619
文献購入ページに移動胃上部早期胃癌に対しては,根治性のみならず術後QOLの向上を目的としてこれまでにさまざまな再建法の工夫が開発されてきた.内視鏡外科手術に関するアンケート調査—第12回集計結果報告1)では,胃癌に対する腹腔鏡下噴門側胃切除術(LAPG)は,2012〜2013年に約780例施行されていた.そのうち主な術後合併症は,吻合部狭窄6.4%,縫合不全5%と報告されている.当科では,1999年に開腹術における細径胃管を用いた再建法を考案し2),本術式を腹腔鏡下手術にも応用してきた.
本術式は,噴門側胃切除術の短所として挙げられる,①手技が煩雑であること,②術後の逆流の発生,③術後の食物排泄遅延(残胃の蠕動不良に伴う残胃容量と排泄能のアンバランス)の発生,を改善・予防し,本来の長所である,①食物摂取量の維持,②栄養状態の改善に寄与する術式を目標として開発された.
そのため,次のような特徴を有する.
1)長い細径胃管(長さ20 cm,幅3 cm)による再建.
2)胃管の口側はコブラ頭状の形態とする(偽穹窿部:pseudo-fundus).
3)胃管の幽門部(幽門輪から約5 cm)は修飾を加えない.
4)食道胃管吻合は,リニア・ステイプラーにて側側吻合する.
5)食道を胃管にon-layとし,密着縫合する.
本術式の適応は,胃上部の早期胃癌としており,郭清もD1郭清を基本としている.幽門部の蠕動反射に支障を与えないよう,幽門上・下のリンパ節郭清は行わない.本稿では,当科で行っている長い細径胃管を用いた体腔内再建法について紹介する.
以下,エンドGIA:コヴィディエン製リニア・ステイプラー,GIA-C:エンドGIAキャメルカートリッジ,GIA-P:エンドGIAパープルカートリッジ,ILA100:コヴィディエン製リニア・ステイプラー,とする.
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