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文献詳細

雑誌文献

臨床外科70巻5号

2015年05月発行

文献概要

臨床報告

胃癌術後に発症したYersinia enterocoliticaによる化膿性脊椎炎の1例

著者: 小池卓也1 河野悟1 塩見理紗2 荒井真2 高橋雅史2 池西太郎3

所属機関: 1相模原協同病院外科 2相模原協同病院臨床検査科 3相模原協同病院整形外科

ページ範囲:P.650 - P.653

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要旨
症例は78歳,男性.胃の検診で異常を指摘され,当院を紹介されて受診し,精査で胃癌と診断され,腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行した.術後6日目より発熱を認め,全身精査をしたが熱源を同定できなかった.しかし,血液培養にてYersinia enterocoliticaを検出して菌血症と診断し,抗菌薬投与を継続した.術後11日目より腰痛が出現し,腰椎MRIを施行したところ化膿性脊椎炎の所見を認めた.その後も保存的加療・抗菌薬投与を続け,症状は改善し,術後74日目に軽快退院した.化膿性脊椎炎は,診断の遅れから適切な治療開始がなされない場合,重篤な後遺症を残す可能性がある.術後に発熱・腰痛を認めた際には,鑑別疾患として化膿性脊椎炎も念頭に精査・加療を行う必要があると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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