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臨床報告
緊急開腹止血時に見逃された外傷性胃後壁損傷の1例
著者: 増田大機12 落合高徳1 熊谷洋一1 飯田道夫1 山崎繁1 杉原健一2
所属機関: 1太田西ノ内病院外科 2東京医科歯科大学大学院腫瘍外科学
ページ範囲:P.900 - P.902
文献購入ページに移動34歳,男性.文化包丁で腹部を自傷し,救急搬送された.腹部CTにてfree airを認め,緊急開腹手術を行った.術中所見では,胃体中部前壁の漿膜面に5 mm程度の損傷を認め,穿孔には至っていないと判断し,漿膜筋層縫合にて胃壁を修復し手術を終えた.術後1日目より経口摂取を開始し得たが,3日目に大量の下血を認めた.上部消化管内視鏡検査にて,胃体中部の前壁と後壁に出血源を認め,腹部刺創時の胃損傷によるものと考えられ,クリッピングにて止血した.外傷例では管腔臓器の損傷をしばしば見逃しがちである.潜在化する管腔臓器の損傷を見落とさないための予防策と本症例における問題点を,若干の文献的考察を含めて報告する.
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