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文献詳細

雑誌文献

臨床外科70巻8号

2015年08月発行

昨日の患者

元患者さん家族との交流

著者: 中川国利1

所属機関: 1宮城県赤十字血液センター

ページ範囲:P.968 - P.968

文献概要

 永年外科医を務めていると,患者さん,そしてその家族との付き合いが生まれる.公私のけじめも必要であるが,仕事を介して触れ合った縁を大切にすることにより,人生がより豊かになる.
 我が家の居間に,平山郁夫画伯が描いたシルクロードシリーズのカレンダーを30数年来掲げている.カレンダーは毎年,元患者さんであったMさんの家族が送ってくれる.Mさんは私が大学病院勤務時代に受け持った患者さんで,当時40歳代半ばで自営業を営んでいた.肝硬変症による食道静脈瘤に対して,脾臓摘出を伴う食道離断術を施行した.術後の経過は良好で,私が大学病院を離れてからも転勤先の病院に通院してくれた.しかし,肝硬変が進行し,6年後に死亡した.そして奥さんと高校生,中学生,「おチビさん」と呼んで可愛がった小学生の3人の子供が取り残された.働き盛りで,しかもいまだ幼い子供らを残して逝かざるをえなかったMさんの気持ちを思うと,胸が張り裂ける思いがした.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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