文献詳細
図解!成人ヘルニア手術・3 忘れてはならない腹壁解剖と手技のポイント
文献概要
■ 一般外科医がヘルニア手術に対するときの心構え
近年,消化器外科の手術手技は標準化され,各施設でそれほど大きな手技の差は認められなくなっている.一方,鼠径ヘルニアの手術手技に関しては様々な種類があり,標準化される方向にはない.その理由として,鼠径ヘルニア手術には職人芸的な要素が残っていて,ヘルニアが脱出しているヘルニア門を閉鎖するという点では方針は決まっているが,そのアプローチ,使用するメッシュの種類,麻酔法などに各術者の「こだわり」があるためと考えられる.
しかしながら,どの手技を選択するにしても治療の大原則は,①確実な治療で再発を防止すること,②術後合併症,特に慢性疼痛の発生を防止すること,である.その対策として大切なことは,①に対してはヘルニア門の正確な確認とその閉鎖であり,それによって見逃しを含む再発の防止にもつながると考える.次に②に対しては,慢性疼痛を引き起こす原因となる神経の確実な温存にある.これらのことを実践するには,やはり鼠径部の解剖を繰り返し確認して理解することが重要と考える.
近年,消化器外科の手術手技は標準化され,各施設でそれほど大きな手技の差は認められなくなっている.一方,鼠径ヘルニアの手術手技に関しては様々な種類があり,標準化される方向にはない.その理由として,鼠径ヘルニア手術には職人芸的な要素が残っていて,ヘルニアが脱出しているヘルニア門を閉鎖するという点では方針は決まっているが,そのアプローチ,使用するメッシュの種類,麻酔法などに各術者の「こだわり」があるためと考えられる.
しかしながら,どの手技を選択するにしても治療の大原則は,①確実な治療で再発を防止すること,②術後合併症,特に慢性疼痛の発生を防止すること,である.その対策として大切なことは,①に対してはヘルニア門の正確な確認とその閉鎖であり,それによって見逃しを含む再発の防止にもつながると考える.次に②に対しては,慢性疼痛を引き起こす原因となる神経の確実な温存にある.これらのことを実践するには,やはり鼠径部の解剖を繰り返し確認して理解することが重要と考える.
参考文献
1)上村佳央:鼠径ヘルニア手術—クーゲル法の手技と成績.外科治療100:645-652,2009
2)Kugel RD:Minimally invasive, nonlapaloscopic, preperitoneal, and sutureless, inguinal herniorrhaphy. Am J Surg 178:298-302, 1999
3)成田匡大,岡本正吾,小柴孝友,他:成人鼠径ヘルニア術後慢性疼痛に対する予防的腸骨鼠径神経摘出.日消外会誌41:1765-1774, 2008
4)Nienhuijs S, Staal E, Keemers-Gels M, et al:Pain after open preperitoneal repair versus Lichtenstein repair:a randomized trial. World J Surg 31:1751-1757, 2007
5)Hompes R, Vansteenkiste F, Devriendt D, et al:Chronic pain after Kugel inguinal hernia repair. Hernia 12:127-132, 2008
6)Van Nieuwenhove Y, Vansteenkiste F, Vierendeels T, et al:Open, preperitoneal hernia repair with the Kugel patch:a prospective, multicentre study of 450 repairs. Hernia 11:9-13, 2007
FL, Yüney E, et al:Systemic inflammatory response after Kugel versus laparoscopic groin hernia repair:a prospective randomized trial. Surg Endosc 23:2657-2661, 2009
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