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文献詳細

雑誌文献

臨床外科71巻11号

2016年10月発行

文献概要

増刊号 消化器・一般外科医のための—救急・集中治療のすべて Ⅲ章 消化器救急疾患 疾患別対処法 上部消化管

特発性食道破裂

著者: 酒井真1 宗田真1 宮崎達也1 桑野博行1

所属機関: 1群馬大学大学院病態総合外科学

ページ範囲:P.215 - P.219

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POINT
■特発性食道破裂(Boerhaave症候群)は比較的稀な疾患とされているが,本疾患が発生した際には縦隔気腫や皮下気腫,気胸に加え,縦隔洞炎,膿胸,ARDSや敗血症などの病態を続発することがあり,高い致死率を呈する重篤な疾患である.
■早期診断のためには,胸痛,腹痛,背部痛の鑑別疾患として本疾患をまず疑うことが重要である.飲酒後の激しい嘔吐をきっかけとして発症することが多く,十分な問診が必要である.本疾患の予後には,発症後24時間以内に適切な治療を開始できるか否かが大きく影響する.
■治療の基本は外科的治療であり,基本的手技は,①穿孔部の閉鎖,②被覆(パッチ)術による補強,③洗浄と縦隔および胸腔のドレナージ,である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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