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文献詳細

雑誌文献

臨床外科71巻12号

2016年11月発行

文献概要

臨床報告

胆管穿破をきたした膵管内乳頭粘液腺腫に対して胆道ダブルバイパス術を施行した1例

著者: 佐藤太祐1 松川啓義1 塩崎滋弘1 荒木宏之1 二宮基樹1

所属機関: 1広島市立広島市民病院外科

ページ範囲:P.1419 - P.1423

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要旨
症例は83歳,女性.6年前からびまん性の主膵管型膵管内乳頭粘液腺腫(IPMN)を指摘され,1年前からは胆管への穿破を生じ,胆管炎を繰り返すようになった.内視鏡的胆道ドレナージは大量の粘液のため効果がなく,根治手術の膵全摘は患者が拒否したため胆管-空腸バイパス術を施行した.肝側胆管断端と挙上空腸のバイパスだけでは,大量の粘液の乳頭のみからの排出では不十分であるため,再度他臓器へ穿破をきたす可能性がある.よって肝側だけではなく十二指腸側胆管断端とも挙上空腸を吻合するダブルバイパス術を施行した.術後の経過は良好であり,本術式はIPMNが胆管穿破をきたしたハイリスク症例や根治手術拒否症例に対して有用な術式と考えられた.

参考文献

1)山口哲司,齊藤文良,堀 亮太,他:総胆管穿破により閉塞性黄疸,胆管炎を呈した膵管内乳頭粘液性腫瘍の1切除例.胆道25:651-657,2011
2)飯田通久,上野富雄,吉田 晋,他:他臓器穿破したIPMNに対し姑息的手術を施行した1例.胆と膵29:793-796,2008
3)Tanaka M:Intraductal papillary mucinous neoplasm of the pancreas:diagnosis and treatment. Pancreas 28:282-288, 2004
4)藤澤貴史,大須賀達也,三田正樹,他:総胆管膵管瘻形成により粘液性閉塞性黄疸を呈した膵管内乳頭腺癌の1剖検例.癌の臨47:144-150,2001
5)小林 剛,藤田直孝,野田 裕,他:他臓器へ穿破した粘液産生膵癌5例の検討.日消誌90:3081-3089,1993
6)浅井浩司,渡邊 学,松清 大,他:異なる手術術式を選択した膵管胆管瘻を伴う膵管内乳頭粘液性腫瘍の2例.膵臓28:197-203,2013
7)菅原正都,大西一郎,中川原寿俊,他:胆管穿破を来したIPMNの一例—胆道分離バイパスの工夫.胆道28:794-799,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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