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臨床報告
胆管穿破をきたした膵管内乳頭粘液腺腫に対して胆道ダブルバイパス術を施行した1例
著者: 佐藤太祐1 松川啓義1 塩崎滋弘1 荒木宏之1 二宮基樹1
所属機関: 1広島市立広島市民病院外科
ページ範囲:P.1419 - P.1423
文献購入ページに移動症例は83歳,女性.6年前からびまん性の主膵管型膵管内乳頭粘液腺腫(IPMN)を指摘され,1年前からは胆管への穿破を生じ,胆管炎を繰り返すようになった.内視鏡的胆道ドレナージは大量の粘液のため効果がなく,根治手術の膵全摘は患者が拒否したため胆管-空腸バイパス術を施行した.肝側胆管断端と挙上空腸のバイパスだけでは,大量の粘液の乳頭のみからの排出では不十分であるため,再度他臓器へ穿破をきたす可能性がある.よって肝側だけではなく十二指腸側胆管断端とも挙上空腸を吻合するダブルバイパス術を施行した.術後の経過は良好であり,本術式はIPMNが胆管穿破をきたしたハイリスク症例や根治手術拒否症例に対して有用な術式と考えられた.
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