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臨床報告
ポリスチレンスルホン酸カルシウム(CPS)による回腸狭窄をきたした1例
著者: 市川健1 河埜道夫1 近藤昭信1 田中穣1 長沼達史1 伊佐地秀司2
所属機関: 1済生会松阪総合病院外科 2三重大学肝胆膵・移植外科
ページ範囲:P.241 - P.245
文献購入ページに移動症例は85歳,男性.慢性腎不全,高カリウム血症でポリスチレンスルホン酸カルシウム(CPS)を1年間内服中であった.当院受診の2日前より腹痛,下痢を繰り返したため精査を行った.小腸造影検査・内視鏡検査でバウヒン弁より30 cm口側の回腸に全周性狭窄を伴う潰瘍性病変を認め,過去に結核感染の既往はないが,結核菌検査で陽性を示したため回腸結核を疑い,回腸部分切除術を施行した.病理組織学的所見で抗酸菌は否定され,狭窄部粘膜下層に好塩基性無構造物の沈着を認めたため,CPSによる回腸狭窄と診断された.CPSによる小腸病変の報告は本症例を含めても2例と少ないが,腸管の狭窄や炎症性変化を認める症例でCPS内服歴があれば,本症も念頭に置くべきであると考えられた.
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