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小児外科領域における移行期医療の現状
著者: 佐々木英之1 仁尾正記1
所属機関: 1東北大学大学院医学系研究科小児外科学分野
ページ範囲:P.322 - P.326
文献購入ページに移動はじめに
近年の小児科・小児外科領域の治療成績の改善により,多くの疾患でその生存率の向上が認められる1).これに伴い,原疾患自体ないしは原疾患に起因する合併症や続発症を抱えながら,医療サポートを必要とする状態で思春期から成人期を迎える患者の数も増加している.しかし,現状ではこのような症例に対する医療現場の状況は十分に整備されているとは言いがたい.このような現状を受けて,本邦では2013年には日本小児科学会から「小児期発症疾患を有する患者の移行期医療に関する提言」が作成された2).また,日本小児外科学会でも2013年よりトランジション検討委員会が組織され,学会としての取り組みを強化している.
本稿では,小児外科領域における移行期医療の現状,問題点および取り組みについて,小児外科の立場から述べるとともに,今後の望ましい方向性について論じてみたい.
近年の小児科・小児外科領域の治療成績の改善により,多くの疾患でその生存率の向上が認められる1).これに伴い,原疾患自体ないしは原疾患に起因する合併症や続発症を抱えながら,医療サポートを必要とする状態で思春期から成人期を迎える患者の数も増加している.しかし,現状ではこのような症例に対する医療現場の状況は十分に整備されているとは言いがたい.このような現状を受けて,本邦では2013年には日本小児科学会から「小児期発症疾患を有する患者の移行期医療に関する提言」が作成された2).また,日本小児外科学会でも2013年よりトランジション検討委員会が組織され,学会としての取り組みを強化している.
本稿では,小児外科領域における移行期医療の現状,問題点および取り組みについて,小児外科の立場から述べるとともに,今後の望ましい方向性について論じてみたい.
参考文献
1)Yagi M, Kohno M, Asagiri K, et al:Twenty-year trends in neonatal surgery based on a nationwide Japanese surveillance program. Pediatr Surg Int 31:955-962, 2015
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7)中島 淳,大久保秀則:小児科から内科へのシームレスな診療をめざして.成人内科側からの問題提起.診断と治療101:1779-1783,2013
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