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文献詳細

雑誌文献

臨床外科71巻4号

2016年04月発行

文献概要

図解!成人ヘルニア手術・11 忘れてはならない腹壁解剖と手技のポイント

再発ヘルニアに対する腹腔鏡下修復術

著者: 川原田陽1 山本和幸1 大場光信1 佐藤大介1 森綾乃1 田中宏典1 才川大介1 鈴木善法1 川田将也1 大久保哲之1 北城秀司1 奥芝俊一1 加藤紘之1

所属機関: 1斗南病院外科

ページ範囲:P.480 - P.488

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■ 再発ヘルニア手術に対するときの心構え
 近年,鼠径ヘルニア手術において腹腔鏡手術を導入する施設が急速に増えつつあるが,一方で不十分な剝離,不十分なメッシュによる被覆が原因で再発をきたすケースが見られる.日本内視鏡外科学会の最近のアンケートでは,鼠径部切開法に比較して腹腔鏡下手術,腹腔内アプローチ(transabdominal preperitoneal repair:TAPP)と,腹膜外腔アプローチ(totally extraperitoneal repair:TEP)の再発率が高くなっており1),この理由としては,不十分な知識,技術のもとで行われた結果,剝離範囲が不足であったり,メッシュによる被覆が不十分となるケースが増えていると思われる.腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術は,単純に考えれば腹壁と腹膜の間を剝離してメッシュを展開する手術であるが,どんなに苦労しても最終形として必要な範囲がメッシュで被覆されていなければならない.
 再発ヘルニアにおける腹腔鏡下手術は,特にTAPPにおいて,複雑な再発形式の診断が容易であるという大きなメリットがある.一方で,前回挿入されたメッシュにより通常の解剖構造が認識しにくくなっており,強固な癒着,瘢痕により,剝離困難な場面が出てくるため,正しい解剖知識と手技の習熟が重要である2)

参考文献

1)日本内視鏡外科学会:内視鏡外科手術に関するアンケート調査—第12回集計結果.日本鏡外会誌19:495-640,2014
2)村上慶洋,吉見泰典,倉島 庸,他:再発鼠径ヘルニアに対する経腹腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術(transzbdominal preperitoneal repair:TAPP)の有用性.Medical Photonics 14:33-39, 2013
3)Simons MP, Aufenacker T, Bay-Nielsen M, et al:European Hernia Society guidelines on the treatment of inguinal hernia in adult patients. Hernia 13:343-403, 2009
4)Miserez M, Peeters E, Aufenacker T, et al:Update with level 1 studies of the European Hernia Society guidelines on the treatment of inguinal hernia in adult patients. Hernia 18:151-163, 2014
5)執行友成:再発鼠径ヘルニアのピットフォールと対策:2)Ideal-HYBRID法(腹腔鏡下誘導前方切開法)の有用性.外科76:1516-1519,2014
6)嶋田 元,柵瀨信太郎:再発鼠径部ヘルニアの手術.外科77:1004-1008,2015
7)和田英俊,佐藤正範,野澤雅之,他:腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術—鼠径部の解剖.手術69:1521-1528,2015
8)Knook MTT:Optimal mesh size for endoscopic ingunal hernia repair. Surg Endosc 15:1471-1477, 2001
9)Binnebosel M:Biomechanical analyses of overlap and mesh dislocationin an incisional hernia model in vitro. Surgery 142:365-371, 2007
10)早川哲史:腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術—TAPP法の最新手術手技.手術69:1529-1537,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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