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図解!成人ヘルニア手術・11 忘れてはならない腹壁解剖と手技のポイント
再発ヘルニアに対する腹腔鏡下修復術
著者: 川原田陽1 山本和幸1 大場光信1 佐藤大介1 森綾乃1 田中宏典1 才川大介1 鈴木善法1 川田将也1 大久保哲之1 北城秀司1 奥芝俊一1 加藤紘之1
所属機関: 1斗南病院外科
ページ範囲:P.480 - P.488
文献購入ページに移動近年,鼠径ヘルニア手術において腹腔鏡手術を導入する施設が急速に増えつつあるが,一方で不十分な剝離,不十分なメッシュによる被覆が原因で再発をきたすケースが見られる.日本内視鏡外科学会の最近のアンケートでは,鼠径部切開法に比較して腹腔鏡下手術,腹腔内アプローチ(transabdominal preperitoneal repair:TAPP)と,腹膜外腔アプローチ(totally extraperitoneal repair:TEP)の再発率が高くなっており1),この理由としては,不十分な知識,技術のもとで行われた結果,剝離範囲が不足であったり,メッシュによる被覆が不十分となるケースが増えていると思われる.腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術は,単純に考えれば腹壁と腹膜の間を剝離してメッシュを展開する手術であるが,どんなに苦労しても最終形として必要な範囲がメッシュで被覆されていなければならない.
再発ヘルニアにおける腹腔鏡下手術は,特にTAPPにおいて,複雑な再発形式の診断が容易であるという大きなメリットがある.一方で,前回挿入されたメッシュにより通常の解剖構造が認識しにくくなっており,強固な癒着,瘢痕により,剝離困難な場面が出てくるため,正しい解剖知識と手技の習熟が重要である2).
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