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文献詳細

雑誌文献

臨床外科71巻7号

2016年07月発行

文献概要

臨床報告

ペースメーカー留置側に発生した乳癌の1経験例と術式選択に関する検討

著者: 棚田安子1 野崎善成1 佐々木正寿1

所属機関: 1富山赤十字病院外科

ページ範囲:P.907 - P.910

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要旨
症例は55歳,女性.45歳時に洞不全症候群でペースメーカーを挿入された.左乳房石灰化の経過観察中に超音波検査で1 cm大の低エコー腫瘤を認め,針生検で浸潤性乳管癌と診断した.病変は乳頭直下に及び乳房温存は困難と判断し,乳房切除の方針とした.腫瘍とペースメーカーは約10 cm離れており,安全に乳房切除が可能であった.病理組織はHER2 enriched typeの浸潤性乳管癌で組織学的悪性度が高く,アントラサイクリン,タキサン,抗HER2薬を含む術後補助化学療法を行った.5年後にペースメーカー入れ替えが予定されており,その際に対側へ留置し直すことで乳房再建も考慮できる症例であると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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