文献詳細
臨床報告
直腸周囲膿瘍を伴い診断に難渋した直腸GISTの1手術例
著者: 田代耕盛1 峯一彦1 市成秀樹1 河野文彰2 中尾大伸2 中村都英3
所属機関: 1宮崎県立日南病院外科 2宮崎大学外科学講座消化管・内分泌・小児外科分野 3宮崎大学外科学講座心臓血管外科分野
ページ範囲:P.1014 - P.1019
文献概要
症例は69歳,男性.主訴は血便.入院時WBC 2万/μL台,40℃台の高熱,貧血,著明な凝固能障害が生じていた.腹部CTにて直腸周囲の巨大な膿瘍形成を認め,経皮的ドレナージ・横行結腸人工肛門造設を行った.2度の大腸内視鏡検査で診断がつかず,最終的に経皮的needle biopsyでgastrointestinal stromal tumor(GIST)の診断が確定し,腹会陰式直腸切断術で切除しえた症例である.免疫染色ではc-kit(+),CD34(+),desmin(−),S-100蛋白(−)で,直腸原発のuncommitted type GISTと診断した.核分裂像は4/50 HPFであった.直腸GISTは文献上,非常に稀な疾患であり,そのなかでも今回の症例は直腸周囲膿瘍を伴っており,医学中央雑誌およびPubMedで検索しえなかった.診断に難渋した,直腸周囲膿瘍を伴う稀な直腸GISTの1手術例を経験したので報告する.
参考文献
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