文献詳細
臨床報告
インドシアニングリーン(ICG)を用いたセンチネルリンパ節生検が有用であった高齢男性乳癌の1例
著者: 藤井雅和1 折田雅彦1 春木貴史1 守田信義1
所属機関: 1光市立光総合病院外科
ページ範囲:P.1029 - P.1032
文献概要
症例は87歳の男性で,主訴は左乳輪下腫瘤.精査にて左乳癌と診断した.触診,画像上で左腋窩リンパ節の腫脹は認めなかった.胸筋温存乳房切除術+センチネルリンパ節生検(SLNB)を施行した.SLNBは色素法+インドシアニングリーン(ICG)蛍光観察法で行った.病理組織診断は,invasive ductal carcinoma, papillotubular carcinoma, T1, N0, M0, stage Ⅰ, ER(+), PgR(+), Her2(0), Ki-67 5〜20%, Luminal B(Her2陰性)であった.本症例は皮下脂肪が少なく,ICG蛍光観察法でリンパ流の流れが明確にとらえられ,確実にセンチネルリンパ節を同定しえた.色素法とICG蛍光観察法を併用したSLNBは男性乳癌においても安全・有用に施行でき,かつ術後の合併症や侵襲を軽減することができる手技であると考えられた.
参考文献
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