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文献詳細

雑誌文献

臨床外科71巻9号

2016年09月発行

文献概要

ラパコレUpdate 最近のコンセプトと手技・2

標準的ラパコレ—The Critical View of Safetyと標準術式

著者: 森俊幸1 鈴木裕1 阿部展次1 杉山政則1

所属機関: 1杏林大学消化器一般外科

ページ範囲:P.1132 - P.1138

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はじめに
 本邦に腹腔鏡下胆摘術(LC)が導入されて四半世紀が経過した.米国でLCが導入された際に胆道損傷(bile duct injury:BDI)の頻度が開腹胆摘術の5倍にものぼることが報告され,医学的な問題ばかりでなく,多くの訴訟の原因ともなった.本邦においても1990〜2001年の調査でLC術中胆道損傷は0.66%であり,開腹手術の報告(0.1〜0.2%)に比して著しく高いことが知られるようになった.当初,LC術中のBDIの原因は外科医の技術習得度が低いためとする論調が多かったが,症例の集積によりBDIは減少しないことが示された.その後多くの報告が,腹腔鏡手術におけるBDIは解剖誤認という根本的問題に起因すると指摘している1).この解剖誤認は画像システムの表示品質によるものではなく,視認性が著しく向上した現在のFull HDシステムでも同様な誤認が起きている.LCは低侵襲な術式と考えられているが,LC術中のBDIは病態が複雑であり,いったん起きると入院は長期化し,胆管空腸吻合などのrevision手術も必要となる.また,胆汁性肝硬変から肝移植となった症例や死亡例も報告されている.すなわちLCの低侵襲性というメリットを得るためにはBDIを起こさない術式が必要であり,BDIを回避できる術式が標準的術式の核心をなす.本稿では,技術認定制度で求めているThe critical view of safety(CVS)の中核をなすアイデアを再確認し,技術認定制度による手術の標準化によるBDI疫学の変遷を概観するとともに,CVSを達成するためにわれわれが標準とする術式を述べていきたい.

参考文献

1)Strasberg SM, Hertl M, Soper NJ:An analysis of the problem of biliary injury during laparoscopic cholecystectomy. J Am Coll Surg 180:101-125, 1995
2)Strasberg SM, Brunt ML:Rationale and use of the critical view of safety in laparoscopic cholecystectomy. J Am Coll Surg 211:132-138, 2010
3)森 俊幸,杉山政則:新アトラスで学ぶ達人の手術 腹腔鏡下胆囊摘出術.消外39:790-798,2016
4)内視鏡外科手術に関するアンケート調査—第12回集計結果報告.腹部外科領域(その1).日鏡外会誌19:498-524,2014
5)Hugh TB, Kelly MD, Mekisic A:Rouviére's sulcus:a useful landmark in laparoscopic cholecystectomy. Br J Surg 84:1253-1254, 1997
6)森 俊幸,橋本佳和,横山政明,他:Difficult Gallbladderに対する戦略と手術手技.消外38:1197-1206,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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