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非開胸食道癌根治術の開発と現状
著者: 藤原斉1 塩崎敦1 小西博貴1 大辻英吾1
所属機関: 1京都府立医科大学消化器外科
ページ範囲:P.60 - P.66
文献購入ページに移動非開胸食道切除術の歴史は古く,非開胸的に頸部と腹部からの操作で胸部食道を剝離し抜去する方法として,1936年,Turnerにより初めて紹介され,本邦においては1971年,秋山により導入された術式である1).胸部食道の盲目的剝離とストリッピング(抜去)を特徴とし,リンパ節郭清については下縦隔のみ可能である.本邦における食道癌の大半は胸部食道扁平上皮癌であり,開胸による上縦隔から下縦隔に至る縦隔リンパ節の徹底郭清を標準とする本邦の食道癌根治術式との比較から,非開胸食道抜去術として広く認識されてきた.内視鏡治療が困難な粘膜癌や縦隔郭清が不要な腹部食道癌に対する根治手術,あるいは,胸膜の高度癒着や低肺機能のため開胸困難な症例に対する姑息手術として臨床応用されてきたが,化学放射線療法と内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)が普及している現在では,その適応症例はきわめて限定されている.一方,食道胃接合部癌の多い欧米では,現在に至るまで経裂孔食道切除術(transhiatal esophagectomy)として広く行われている術式である.
近年の内視鏡外科手術手技の進歩は目覚ましく,食道癌に対して胸腔鏡手術が盛んに行われるようになった.こうしたなか,内視鏡外科手術手技の導入により,経胸手術と同等の縦隔リンパ節郭清を伴う非開胸食道切除術が可能となってきた.本稿では,胸部食道癌に対する根治術式としての非開胸食道切除術,すなわち,非開胸食道癌根治術の開発と現状について解説する.
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