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文献詳細

雑誌文献

臨床外科72巻11号

2017年10月発行

増刊号 手術ステップごとに理解する—標準術式アトラス

2 胃・十二指腸

胃十二指腸潰瘍穿孔に対する手術

著者: 三森教雄1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学外科学講座上部消化管外科

ページ範囲:P.54 - P.57

文献概要

 消化性潰瘍穿孔による腹膜炎を呈している場合,急性腹症として緊急手術の対象となりうる.発症から来院までの時間,直前の食事摂取の程度,年齢,基礎疾患の有無,胃癌穿孔による腹膜炎の可能性を念頭に,治療方針を検討する.穿孔に対する保存的治療を行った場合も経時的な観察を怠らず,発症後24時間を目安に改善がなければ外科治療を考慮する.消化性潰瘍穿孔に対する最適な術式について,ガイドラインでは腹腔洗浄ドレナージ+穿孔部閉鎖+大網被覆が推奨されている1).腹腔鏡下手術で行われる機会が多いが,状況により開腹適応も許容され,ためらう必要はない.
 穿孔部位により選択する術式が異なる.胃穿孔の場合,胃癌穿孔の可能性があり,状態が許せば術前に上部内視鏡検査を行い部位,性状を把握すべきである2)

参考文献

1)日本消化器病学会(編):消化性潰瘍ガイドライン2015,南江堂,2015
2)三森教雄,他:消化性潰瘍の合併症:外科的治療.小池和彦,山本博徳,瀬戸泰之(編):消化器疾患最新の治療2017-2018.南江堂,2017,pp 157-160
3)Courtney M, Townsend J, et al:Sabiston Textbook of Surgery, 20th ed. Elsevier, 2016, pp 1204-1205
4)Pai D, Sharma A, Kanungo R, et al:Role of abdominal drains in perforated dudenal ulcer patients:a prospective controlled study. Aust N Z J Surg 69:210-213, 1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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