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増刊号 手術ステップごとに理解する—標準術式アトラス 8 乳腺
腋窩の手術
著者: 森園亜里紗1 多田敬一郎1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院乳腺内分泌外科
ページ範囲:P.338 - P.343
文献購入ページに移動センチネルリンパ節生検
センチネルリンパ節の手技については確立した方法はなく,施設あるいは術者によって異なっているのが現状である.センチネルリンパ節の同定に用いられるトレーサーは,大きく分けて色素法とラジオアイソトープ(RI)法があり,それぞれの単独法あるいは併用法が用いられている.併用法が色素法単独に比べ優れているとの報告1)や,同等であるとの報告があり2),ガイドラインでは「併用法を推奨するが色素法単独も十分許容できる」としている3).使用する放射性核種や色素,注入部位は様々である.乳房のリンパ流は乳房内の小葉間リンパから発生し,そのリンパ管は乳頭へ向かい乳頭下リンパ管叢にいったん収束する.その後,真皮内・皮下を走行するリンパ管が主に腋窩に流入し,一部では胸骨傍リンパ節に還流する4).そのため注入部位は乳輪,腫瘍直上皮膚,腫瘍周囲など様々である.
センチネルリンパ節の手技については確立した方法はなく,施設あるいは術者によって異なっているのが現状である.センチネルリンパ節の同定に用いられるトレーサーは,大きく分けて色素法とラジオアイソトープ(RI)法があり,それぞれの単独法あるいは併用法が用いられている.併用法が色素法単独に比べ優れているとの報告1)や,同等であるとの報告があり2),ガイドラインでは「併用法を推奨するが色素法単独も十分許容できる」としている3).使用する放射性核種や色素,注入部位は様々である.乳房のリンパ流は乳房内の小葉間リンパから発生し,そのリンパ管は乳頭へ向かい乳頭下リンパ管叢にいったん収束する.その後,真皮内・皮下を走行するリンパ管が主に腋窩に流入し,一部では胸骨傍リンパ節に還流する4).そのため注入部位は乳輪,腫瘍直上皮膚,腫瘍周囲など様々である.
参考文献
1)McMasters KM, Tuttle TM, Carlson DJ, et al:Sentinel lymph node biopsy for breast cancer:a suitable alternative to routine axillary dissection in multi-institutional practice when optimal technique is used. J Clin Oncol 18:2560-2566, 2000
2)Morrow M, Rademaker AW, Bethke KP, et al:Learning sentinel node biopsy:results of a prospective randomized trial of two techniques. Surgery 126:714-720, 1999
3)日本乳癌学会(編):科学的根拠に基づく 乳癌診療ガイドライン①治療編 2015年版.金原出版,2015,pp 230-231
4)神保健二郎,木下貴之:センチネルパネル節生検.木下貴之:腋窩リンパ節郭清術.木下貴之(編);国立がん研究センターの乳癌手術.南山堂,2016,pp 15,79
5)稲治英生:乳房温存術—乳房円状部分切除術(2).霞富士雄,植野 栄;乳癌の手術,第3版.南江堂,2005,p 82
6)三瀬圭一・児玉 宏:腋窩郭清—レベルⅢ.霞富士雄;乳腺外科の要点と盲点,第2版.文光堂,2007,pp 206-207
7)Zollinger RM Jr, Ellison EC(著);安達洋祐(訳):ゾリンジャー外科手術アトラス.医学書院,2013,pp 432-437
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