文献詳細
臨床報告
胆囊癌と鑑別が困難であった胆囊潰瘍の1例
著者: 永冨脩二1 石崎直樹1 緒方裕樹1 山下雄史1 槐島健太郎1 高城千彰2
所属機関: 1鹿児島市医師会病院外科 2鹿児島市医師会病院病理診断科
ページ範囲:P.1383 - P.1386
文献概要
症例は69歳,男性.上腹部痛を主訴に近医を受診し,総胆管結石を指摘された.造影CTで胆囊壁の不整な肥厚を認め,超音波内視鏡検査で3 cm大の胆囊腫瘍を認めた.急性胆管炎に対しては内視鏡的胆道ドレナージチューブ留置を行い,保存的に軽快した.患者はエホバの証人の信者であり,当科に紹介され受診となった.胆囊腫瘍は画像的にT3以深の胆囊癌を疑い,手術の方針とした.胆囊床切除術,総胆管切開排石術を施行した.摘出した胆囊内に腫瘤性病変は認めず,胆囊底部の潰瘍性病変と腫瘤様にみえたものは付着する胆汁やフィブリン塊であった.胆囊潰瘍は本邦でも報告例が少なく稀な疾患である.若干の文献的考察を加え報告する.
参考文献
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