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文献詳細

雑誌文献

臨床外科72巻2号

2017年02月発行

文献概要

臨床報告

診断に苦慮した膀胱癌術後再発による直腸輪状狭窄の1例

著者: 松村真樹1 吉松和彦1 横溝肇1 中山真緒1 佐竹昌也1 成高義彦1

所属機関: 1東京女子医科大学東医療センター外科

ページ範囲:P.228 - P.231

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要旨
症例は71歳,男性.便秘・肛門痛が出現し,他院で大腸内視鏡検査を施行した.下部直腸に全周性の狭窄を認めたが粘膜は正常で,スコープは通過可能であった.CT検査では直腸壁の肥厚のみを認めた.その3か月後,腹部膨満が出現し,S状結腸から上行結腸までの著明な拡張と鏡面形成像を認め入院となった.再度のCT検査では直腸壁に造影効果を伴う全周性の肥厚を認め,大腸内視鏡検査では下部直腸に発赤,不整粘膜を認め,全周性の強い狭窄によりスコープは通過困難であった.生検はmicropapillary carcinomaで,免疫組織染色ではCdX2,CEAが陰性,CK7,CK20が陽性で膀胱癌の直腸転移と診断した.横行結腸に人工肛門を造設後,泌尿器科へ転科した.GC療法を4コース行ったが,術後7か月で死亡した.稀な転移形式で診断に苦慮した膀胱癌術後再発による直腸輪状狭窄の1例を経験したので報告した.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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