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ラパコレUpdate 最近のコンセプトと手技・10
—Difficult gallbladder—胆摘困難例の画像診断
著者: 佐藤多未笑1 渡邊利広1 菅原秀一郎1 平井一郎1 木村理1
所属機関: 1山形大学医学部外科学第一講座(消化器・乳腺甲状腺・一般外科学)
ページ範囲:P.618 - P.623
文献購入ページに移動近年,整容性,低侵襲性から良性疾患に対する胆囊摘出術はほとんどが腹腔鏡下で行われている.一方で,その難易度は胆囊頸部,Calot三角への炎症の波及などによって左右され,高度炎症例や解剖同定困難例などにおいては開腹手術への移行,臓器損傷や出血などの合併症をみる場合もある.腹腔鏡下胆囊摘出術困難例のリスク因子は,男性,高齢,急性胆囊炎,幅広く短い胆囊管,胆囊消化管瘻,上腹部手術既往,肥満,肝硬変,解剖学的変異,胆管癌,術者の経験,などが報告されている1,2).日本内視鏡外科学会の「内視鏡外科に関するアンケート調査—第13回集計結果報告」によると,合併症・偶発症の頻度は以下の通りであった3).開腹止血を要した術中出血例が2,558例(0.5%),胆管損傷が3,137例(0.6%),その他の臓器損傷が1,300例(0.2%),術中合併症以外による開腹移行例は17,900例(3.4%)であった.開腹移行の要因としては,局所炎症による癒着・解剖不明例が13,359例(74.6%)と最も多く,次いで既往手術による癒着が2,921例(16.3%)であった.特に胆管損傷は極めて重大な合併症であり,この場合,死亡率は約10%と報告される.胆囊摘出術が困難となる要因としては,局所高度炎症による癒着,線維化,それによる解剖同定困難,また,既往手術による癒着,さらには解剖学的異常などが挙げられる.合併症予防のためには,術前に炎症の程度や胆管走行の異常の有無を把握しておくことが重要であり,本稿では,当科で経験した胆摘困難例の画像を供覧し,術前画像診断のポイントについて述べる.
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