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文献詳細

雑誌文献

臨床外科72巻5号

2017年05月発行

文献概要

臨床報告

膵併存腫瘍の術後肝転移に対し手術を施行した1例

著者: 安里昌哉1 照屋剛1 大田守仁1 仲地厚1 喜友名正也1

所属機関: 1豊見城中央病院外科

ページ範囲:P.638 - P.642

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要旨
症例は67歳,男性.2014年9月に褐色尿,白色便,皮膚横染に気づき内科を受診した.精査にて膵頭部癌の診断で同年10月,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的に膵癌と内分泌腫瘍の膵併存腫瘍と診断した.膵癌成分のリンパ節転移を認めたためTS-1による術後補助化学療法を行った.2016年2月の画像検査で肝S6/7,S5/6に肝転移を認めた.化学療法を変更したが転移巣は増大傾向であった.同年6月,2病変に対し肝後区域切除および肝部分切除術を施行した.病理組織検査では2病変ともに内分泌癌の転移であった.術後4か月経過するが再発は認めていない.膵併存腫瘍術後肝転移に対し肝切除が有効と思われた1例を経験したので報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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