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文献詳細

雑誌文献

臨床外科72巻6号

2017年06月発行

1200字通信・105

象の眼にも涙

著者: 板野聡1

所属機関: 1寺田病院外科

ページ範囲:P.704 - P.704

文献概要

 ある日,「インド象が,仲間の死に際して涙を流していた」という記事を目にしました.この記事を読んで,象は,仲間が亡くなり骨になった場所に行くと,やはり涙を流すという記事を思い出すことになりました.象が埋葬を行うとは聞いたことがない1)ので,遺体は朽ち果て骨だけになるのでしょうが,その地を訪れるということは,その場所の記憶があり,同時に過去の仲間に対しての記憶があるということになります.そのうえで涙を流すのであれば,それはただの記録としての記憶ではなく,人間と同様に「仲間を懐かしみ,仲間を偲ぶ」という思い出としての記憶,「追憶」ということになりはしないでしょうか.
 もっとも,動物もその子供に対して,単に本能のままに生殖活動を行った結果として生まれてきたものというのではなしに,われわれ人間と同様に愛情を注ぐ姿を見ることがあるわけですから,やはり感情はあるはずです.であればこそ,悲しみの感情,仲間の死を悼む感情,そして惜別の想いもあっても良いのではないかと想像することになります.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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