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文献詳細

雑誌文献

臨床外科72巻7号

2017年07月発行

文献概要

臨床報告

腹臥位CTで術前診断しTAPP法で修復した間接型鼠径部膀胱ヘルニアの1例

著者: 小泉範明1 小林博喜1 高木剛1 福本兼久1

所属機関: 1西陣病院外科

ページ範囲:P.895 - P.899

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要旨
症例は66歳,男性.右鼠径部の膨隆を自覚し当院を受診した.腹臥位CT検査にて間接鼠径ヘルニアに合併する膀胱ヘルニアと診断し,TAPP法で手術を施行した.ヘルニア分類はⅠ-2型で内側から膀胱が滑脱しており,paraperitoneal typeの膀胱ヘルニアと診断した.膀胱損傷を防ぐため,膀胱下腹筋膜を損傷せぬよう意識しながら腹膜前腔を十分内側まで剝離し,メッシュを留置・固定した.膀胱ヘルニアの手術においては膀胱損傷に注意が必要であるが,CT検査で術前診断を行うことがその予防に有益と考えられた.また,腹腔鏡手術では層構造に基づいた愛護的な剝離を行うことが可能であり,膀胱下腹筋膜を意識することで膀胱ヘルニアに対しても安全で確実な治療が行えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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