文献詳細
FOCUS
十二指腸内視鏡治療の最前線
著者: 落合康利1 木口賀之1 光永豊1 飽本哲兵1 前畑忠輝1 藤本愛1 西澤俊宏1 後藤修1 浦岡俊夫12 矢作直久1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部腫瘍センター低侵襲療法研究開発部門 2国立病院機構東京医療センター消化器科
ページ範囲:P.967 - P.973
文献概要
消化管に対する内視鏡的アプローチは1950年代から始まった.治療内視鏡は1968年ごろからポリペクトミー,1983年ごろから内視鏡的粘膜切除術(EMR),1998年ごろから内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)が行われるようになった.現在,小型の病変に関してはEMRで対応することが多いのではないかと思われるが,対応困難な大型病変などに対してはESDが行われている.ESD自体は,当初は偶発症の発生頻度が高く,リスクの高い処置だといわれたこともあったが,内視鏡機器の開発および内視鏡医の技術向上により安全に行うことができるようになってくると,その有効性から瞬く間に全国に広がっていった.胃・十二指腸,食道,大腸の順番に保険収載され,一般的な手技としてガイドラインにも記載されている.
しかし,このうち十二指腸に関しては,胃と同時に保険収載されたものの当時は疾患頻度の低さから実際に行われることは必ずしも多くなかった.近年になると,内視鏡機器の開発および内視鏡医の認知度の上昇などから,学会などでもその報告例が徐々に見受けられるようになってきた.しかし,実際に治療を始めてみると,技術的難易度が高く,時に深刻な事態となる偶発症などの問題点が明らかとなり,一般化できていないのが現状である1).十二指腸における外科手術は部位によっては患者負担の大きな治療となることもあり,その是非については学会などを中心に議論が交わされているところである.本稿では,現時点で内視鏡治療によりどこまでできるのかをご紹介したいと思う.
参考文献
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