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文献詳細

雑誌文献

臨床外科72巻8号

2017年08月発行

FOCUS

複合現実Mixed Reality,拡張現実Augmented Reality,仮想現実Virtual Realityによる空間認識医用画像手術支援

著者: 杉本真樹12 志賀淑之2 安部光洋2 日下部将史3 脊山泰治4

所属機関: 1国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 2NTT東日本関東病院泌尿器科 3NTT東日本関東病院放射線部 4都立墨東病院外科

ページ範囲:P.975 - P.985

文献概要

はじめに
 医用画像解析のソフトウェア技術が進み,患者MDCTの3Dボリュームデータから臓器や病変の解剖学的形状を関心領域(ROI)として抽出し,ポリゴンモデルに書き出して臨床現場や学術領域で活用することが,容易かつ迅速に行われている1,2).具体的には医用画像の標準フォーマットであるDICOMから,ポリゴン化されたデータを3D的にあらゆる方向から提示しながらカンファレンスや手術計画,術中画像提示,学術発表などに利用されている.その際にvolume renderingなどによる3D画像表示の陰影表現のみでは,平面モニタ上で解剖学的な奥行きを正確に理解するのは困難であった.また実際の解剖を正確に空間認識として理解するには,平面的な情報を二次元的モニタ上でマウスなどの入力インターフェイスで画像を移動回転させたり,頭の中だけで立体像を想像するだけでは不十分であり,熟練度に差異が生じていた.空間認識とは本来,ユーザーも頭を動かしたり実際に移動しながら,空間的位置や移動距離,平衡感覚などを同時に体感する必要がある.そこで近年,患者個別の解剖に忠実な空間認識の再現が重要視されており,仮想現実(virtual reality:VR),拡張現実(augmented reality:AR),複合現実(mixed reality:MR)などの技術を医用画像解析や手術支援に応用し,空間認識を向上させる研究が進んでいる3〜5)
 本稿では,VR, AR, MRによる空間認識向上をめざした医用画像手術支援につき,実例を交えて報告する.

参考文献

1)杉本真樹:医用画像処理におけるバーチャルリアリティシステムとユーザビリティ;OsiriXとCAD/CAMを融合した生体3Dプリンティング.日本バーチャルリアリティ学会誌20:18-22,2015
2)杉本真樹,東 健:3Dホログラムと臓器立体モデルを追従重畳表示した混合現実的拡張触感による空間手術ナビゲーション.日本コンピュータ外科学会誌16:268-269,2014
3)杉本真樹,志賀淑之,安部光洋,他:VR・AR・MRにおける三次元空間性・実時間相互作用性・自己投射性の比較による個別化医療手術支援の最適化.日コンピュータ外会誌J JSCAS 18:278-279,2016
4)杉本真樹,志賀淑之,安部光洋,他:自己投射性と双方向性を実現したvirtual realityと仮想ホログラフィー拡張現実による没入型手術ナビゲーション.日外会誌117:387-394,2016
5)杉本真樹,東 健:仮想現実VR,拡張現実AR,プロジェクションマッピング,ホログラフィーによる人間中心設計HCDに基づく肝胆膵手術支援.手術70:169-175,2016
6)杉本真樹:OsiriX画像処理パーフェクトガイド最新版(Ver. 5.9/6.0対応).エクスナレッジ,2015
7)舘 暲:バーチャルリアリティとは.日本バーチャルリアリティ学会〔https://vrsj.org/about/virtualreality/〕
8)Azuma RT:A Survey of Augmented Reality. Teleoperators and Virtual Environments 6:355-385, 1997
9)Milgram P, Kishino F:A Taxonomy of Mixed Reality Visual Displays. IEICE TRANSACTIONS on Information and Systems. E77-D:1321-1329, 1994

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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