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文献詳細

雑誌文献

臨床外科72巻8号

2017年08月発行

臨床報告

腹腔鏡下手術が有用であった再々発膀胱上窩ヘルニアの1例

著者: 黒田顕慈1 寺岡均1 南原幹男1 木下春人1 野田英児1

所属機関: 1社会医療法人ペガサス 馬場記念病院外科

ページ範囲:P.996 - P.999

文献概要

要旨
症例は65歳,男性.1984年および2014年に右鼠径部ヘルニアに対し,前方到達法にて手術が施行された.しかし,2015年7月より右鼠径部の膨隆を自覚したため,当科受診となった.右鼠径ヘルニアの再々発と診断し,2016年6月に腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術を施行した.腹腔内を観察したところ,内側臍襞の内側に2 cm大のヘルニア門を認め,外膀胱上窩ヘルニアと診断した.本疾患は鼠径部ヘルニアの分類(日本ヘルニア学会)Ⅱ-1型に相当し,臨床的に内鼠径ヘルニアとの鑑別が困難である.腹腔鏡下アプローチはこれらの鑑別や再発形式の診断・治療に有用であると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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